玉ネギ中毒
「犬にネギを与えてはいけない」は、ワンちゃんを飼われている方には広く知られているようです。実は玉ネギだけでなく、長ネギやニンニク、ニラなどのネギ類も中毒の原因となります。
そして、イヌだけでなく、ネコやウサギも中毒になります。
日本で初めての報告は、1975年、北海道大学の家畜病院に来院した秋田犬だそうです。
原因
ネギなどに含まれる、有機チオ硫酸化合物が、血液の細胞成分である赤血球を壊してしまい、溶血性貧血を起こします。この物質は、加熱しても毒性は消えないので、ハンバーグ、鍋物、カレー、シチュー、チャーハンなどなど、注意が必要です。また、調味料であるソース、ケチャップ、サラダドレッシングも中毒の恐れがあります。
摂取量と毒性の関係はあまりなく、タマネギ入りの味噌汁をひと口飲んだだけで、重度の貧血を起こすイヌもいれば、タマネギ2個食べてしまっても何ともないイヌもいます。この個体差は、遺伝的な要因により、タマネギに対する感受性が異なるそうです。
症状
症状は貧血、黄疸、可視粘膜蒼白、ヘモグロビン尿(赤色の尿)などです。発症までに1〜数日かかります。重症例では死亡する場合もあります。
治療方法
食べてすぐ(1時間以内)であれば、吐かせます。解毒剤などはなく、対症療法を行います。重症の場合は輸血が必要になることもあります。いずれにせよ、摂取してしまったら病院へご連絡ください。クレッセ動物病院 獣医師 永嶋